ペンタトニックスケールは、コードの種類によって、幅広く使えたりもします。これは海外の音楽学校から、入ってきた音楽理論ですが、現在では日本の音楽学校でも、教えられています。これを覚えておけば、特にはアドリブソロで、ペンタトニックスケールを活かせるでしょう。

メジャーセブンスコード

コードの例 CM7 / C△7 / Cmaj7(シー・メジャー・セブンス)
コードの構成音 C・E・G・B
コードの音程 完全1度・長3度・完全5度・長7度
メジャーペンタの根音 完全1度・長2度

メジャーセブンスのペンタ

上表のコードの構成音とコードの音程は、コードの例にも挙げている、CM7のものです。ここで大事なのは「メジャーペンタの根音」にある、完全1度と長2度という項目です。これはCM7で使えるメジャーペンタの、根音になる音程なのですが、完全1度から見ていきましょう。

  • CM7の完全1度のC
    CM7の完全1度のCの指板図
  • Cメジャーペンタトニックスケール
    Cメジャーペンタトニックスケールの指板図
  • Aマイナーペンタトニックスケール
    Aマイナーペンタトニックスケールの指板図

完全1度からのメジャーペンタ

❶はCM7の構成音CEGBですが、それの完全1度はCです。そのCを根音とする❷の、CメジャーペンタがCM7で使える、という意味です。更にCメジャーペンタの平行調である、❸のAマイナーペンタも、CM7では使えます。これはそのままで、分かり易いと思います。

  • CM7から見る長2度のD(構成音外)
    CM7から見る長2度のD(構成音外)の指板図
  • Dメジャーペンタトニックスケール
    Dメジャーペンタトニックスケールの指板図
  • Bマイナーペンタトニックスケール
    Bマイナーペンタトニックスケールの指板図

長2度からのメジャーペンタ

CM7から長2度を見ると❹のように、3弦5フレット等のDです。そして、そのDを根音とする❺の、DメジャーペンタがCM7で使え、やはり平行調に当たる、❻のBマイナーペンタも使える、という意味です。当然コードが変われば、ペンタトニックの種類も変わるので、注意しくてださい。

Dメジャーペンタが使える理由

簡潔にはCメジャーペンタと、Dメジャーペンタの、構成音が似ているからです。最も引っ掛かるのは、Dメジャーペンタに含まれる、F#だと思いますが、これはCM7から見ると、ブルーノートという、怪しくも格好よい音なので、大きな違和感がない為でしょう。

マイナーペンタの方が使い易い?

このようにCM7なら、Dメジャーペンタと、Bマイナーペンタが使えますが、構成音は同じものの、私はBマイナーペンタを意識して、弾く方が多いです。恐らくマイナーペンタの方が、ソロフレーズを作り易い、と感じる人が多いかもしれません。

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Bマイナーペンタトニックスケール(12小節目)/ Eマイナーペンタトニックスケール(34小節目)
Bマイナーペンタトニックスケール(1・2小節目)/Eマイナーペンタトニックスケール(3・4小節目)

伴奏に合っているか

12小節目のCM7ではBマイナーペンタ、34小節目のFM7ではEマイナーペンタ、を使ったフレーズです。私は慣れているせいもあり、自然に聞こえますが、伴奏のコードに合ってない、と感じる人もいるかと思います。そういう場合は、他のペンタトニックを使い、アプローチを変えてみましょう。

ドミナントセブンスコード

コードの例 C7(シー・ドミナント・セブンス)
コードの構成音 C・E・G・B
コードの音程 完全1度・長3度・完全5度・短7度
メジャーペンタの根音 完全1度・短3度・短7度

ドミナントセブンスのペンタ

次はドミナントセブンスですが、考えた方はメジャーセブンスと同じです。メジャーペンタの根音には、完全1度短3度短7度とあり、これらを根音とした、メジャーペンタが使えます。前述した完全1度は省き、短3度と短7度をC7で、考えていきましょう。

  • C7から見る短3度のE(構成音外)
    C7から見る短3度のE♭(構成音外)の指板図
  • Eメジャーペンタトニックスケール
    E♭メジャーペンタトニックスケールの指板図
  • Cマイナーペンタトニックスケール
    Cマイナーペンタトニックスケールの指板図

短3度からのメジャーペンタ

C7から短3度を見ると❶のように、2弦1フレット等のEです。そのEを根音とする、❷のEメジャーペンタと、それの平行調である、❸のCマイナーペンタが、C7で使えます。

  • C7の短7度のB
    C7の短7度のB♭の指板図
  • Bメジャーペンタトニックスケール
    B♭メジャーペンタトニックスケールの指板図
  • Gマイナーペンタトニックスケール
    Gマイナーペンタトニックスケールの指板図

短7度からのメジャーペンタ

❹でも見られるように、C7の短7度はのBです。それを根音とする、❺のBメジャーペンタと、平行調である❻のGマイナーペンタも、C7で合うスケールです。

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Eメジャーペンタトニックスケール(12小節目)/ Aメジャーペンタトニックスケール(34小節目)
E♭メジャーペンタトニックスケール(1・2小節目)/A♭メジャーペンタトニックスケール(3・4小節目)

よく弾くフレーズ

12小節目のC7ではEメジャーペンタ、34小節目のF7ではAメジャーペンタ、で弾いています。34小節目で見られる、16分音符の連続ですが、ペンタトニックでも、よく弾くフレーズです。

マイナーセブンスコード

コードの例 Cm7 / C-7(シー・マイナー・セブンス)
コードの構成音 C・E・G・B
コードの音程 完全1度・短3度・完全5度・短7度
メジャーペンタの根音 短3度・完全4度・短7度

マイナーセブンスのメジャーペンタ

メジャーペンタの根音には、短3度完全4度短7度とあり、完全1度はありません。Cm7にCメジャーペンタ(Aマイナーペンタ)は、あまり合わないとは思いますが、禁止という事はありません。短3度と短7度は説明済みなので、以下では完全4度のメジャーペンタを、Cm7で例に挙げてみます。

  • Cm7の完全4度のF
    Cm7の完全4度のFの指板図
  • Fメジャーペンタトニックスケール
    Fメジャーペンタトニックスケールの指板図
  • Dマイナーペンタトニックスケール
    Dマイナーペンタトニックスケールの指板図

完全4度からのメジャーペンタ

Cm7から完全4度を考えると、❶のように、2弦3フレット等のFです。それを根音とする、❷のFメジャーペンタと、平行調である、❸のDマイナーペンタが、Cm7では合うとされています。

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Fメジャーペンタトニックスケール(1~4小節目)/ Aマイナーペンタトニックスケール(5~8小節目)
Fメジャーペンタトニックスケール(1~4小節目)/Aマイナーペンタトニックスケール(5~8小節目)

高音域のフレット

1~4小節目のCm7ではFメジャーペンタ、5~8小節目のGm7ではAマイナーペンタ、を使っています。全体的に高音域ですが、特に67小節目は、フレット幅も狭いので、押弦に苦戦するかと思います。

ハーフディミニッシュコード

コードの例 Cm7(5) / C-7(-5) / CØ(シー・ハーフ・ディミニッシュ)
コードの構成音 C・E・G・B
コードの音程 完全1度・短3度・減5度・短7度
メジャーペンタの根音 減5度

ハーフディミニッシュのメジャーペンタ

メジャーペンタの根音には、減5度のみとなっていますが、これも絶対的な事ではありません。他のペンタトニックが合うと思えば、特にソロでなら、大きな違和感にはならないでしょう。

  • Cm7(5)の減5度のG
    Cm7(♭5)の減5度のG♭の指板図
  • Gメジャーペンタトニックスケール
    G♭メジャーペンタトニックスケールの指板図
  • Eマイナーペンタトニックスケール
    E♭マイナーペンタトニックスケールの指板図

減5度からのメジャーペンタ

Cm7(5)の減5度は❶のように、2弦4フレット等で見られるGです。それを根音とする、❷のGメジャーペンタと、平行調である、❸のEマイナーペンタが、Cm7(5)では合うとされます。

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Eマイナーペンタトニックスケール(12小節目)/ Bメジャーペンタトニックスケール(34小節目)
E♭マイナーペンタトニックスケール(1・2小節目)/Bメジャーペンタトニックスケール(3・4小節目)

同じフレーズを繰り返す

12小節目のCm7(5)をEマイナーペンタ、34小節目のFm7をBメジャーペンタ、で弾いています。1小節目のように、同じフレーズを繰り返すというのも、ソロではよく見られます。

ディミニッシュセブンスコード

コードの例 Cdim7 / CO7(シー・ディミニッシュ・セブンス)
コードの構成音 C・E・G・B
コードの音程 完全1度・短3度・減5度・減7度
メジャーペンタの根音 なし

ディミニッシュセブンスは無し

メジャーペンタの根音には、とあるように、ディミニッシュセブンスでは、合うペンタトニックが無い、というのが一応の決まりです。不安な人は、ディミニッシュセブンスのコードトーン、またはペンタトニック以外のスケールを使う、というのが無難かもしれません。

まとめ

  • コードの種類 メジャーペンタの音程 メジャーペンタトニック マイナーペンタトニック
    メジャーセブンス
    (例:C
    M7)
    完全1度(P1) P1メジャーペンタ M6マイナーペンタ
    長2度(M2) M2メジャーペンタ M7マイナーペンタ
  • コードの種類 メジャーペンタの音程 メジャーペンタトニック マイナーペンタトニック
    ドミナントセブンス
    (例:C
    7)
    完全1度(P1) P1メジャーペンタ M6マイナーペンタ
    短3度(m3) m3メジャーペンタ P1マイナーペンタ
    短7度(m7) m7メジャーペンタ P5マイナーペンタ
  • コードの種類 メジャーペンタの音程 メジャーペンタトニック マイナーペンタトニック
    マイナーセブンス
    (例:C
    m7)
    短3度(m3) m3メジャーペンタ P1マイナーペンタ
    完全4度(P4) P4メジャーペンタ M2マイナーペンタ
    短7度(m7) m7メジャーペンタ P5マイナーペンタ
  • コードの種類 メジャーペンタの音程 メジャーペンタトニック マイナーペンタトニック
    ハーフディミニッシュ
    (例:C
    m7
    (
    5)
    減5度(
    5)
    5メジャーペンタ
    m3マイナーペンタ
  • コードの種類 メジャーペンタの音程 メジャーペンタトニック マイナーペンタトニック
    ディミニッシュセブンス
    (例:C
    dim7

ペンタトニックに合うコード

ペンタトニックスケールに合うコードを、5つに分けて説明してきました。テンションコードを含めれば、まだあるのですが、非常に長くなるので、割愛させてもらいます。また、ペンタトニックが合うか合わないかは、主観もあるので、実際に使ってみる事が大事です。

音程の省略記号

完全1度のP1、長2度のM2、短3度のm3などは、音程の省略記号です。詳しくは音程と度数や、エレキベースのコードで説明しています。

記事終了
このページのまとめ
  • ペンタトニックはコード毎に、根音を変化させて使える。
  • ペンタトニックが合わないコードもある。
  • コード伴奏に合っているかも確認する。