譜面は何小節かに渡り、同じフレーズが続く時もあります。そういう場合は、譜面を書く側は手間が省け、譜面を見る側も読み易くなるため、反復記号(はんぷくきごう)を使用する事が多いです。反復記号にも色んな種類がありますが、ここで紹介している代表的なものを、知っておけば良いでしょう。

リピート記号

リピート記号①
リピート記号1の8小節

リピート記号の効果

8小節目のHにあるのがリピート記号で、Hを弾き終えたら、再びAへ戻ります。しかし、何度も繰り返す分けではなく、特別な場合を除き、リピート記号の効果は一度きりです。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F⇒G⇒H
    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F⇒G⇒H

リピート記号②
リピート記号2の8小節

小節を挟んだリピート記号

2小節目のBと7小節目のGを、挟むようにして、リピート記号が位置しています。なので、今度はAには戻らず、Bへ戻り進行していきます。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F⇒G
    B⇒C⇒D⇒E⇒F⇒G⇒H

リピート記号③
リピート記号3の8小節

リピートの回数指定

7小節目のGと8小節目のHを、リピート記号が挟んでいますが、今度は(×4 times)という、回数を指定しています。なので、GとHを計4回繰り返します。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F⇒G⇒H
    G⇒H⇒G⇒H⇒G⇒H

カッコのリピート記号

カッコのリピート記号①
カッコのリピート記号1の8小節

リピート後はカッコ2へ飛ぶ

リピート記号は一緒にカッコを使う事もあります。FのリピートでAへ戻った後、今度はカッコ1のCへは入らず、カッコ2のGへ飛びます。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F
    A⇒B⇒G⇒H

カッコのリピート記号②
カッコのリピート記号2の8小節

戻る小節と飛ぶ小節

今度は小節を挟んだリピート記号と、カッコ1と2を使った反復記号です。戻る小節と飛ぶ小節に気を付けて、先ずは自分で考えてみましょう。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒C⇒D⇒E
    B⇒C⇒F⇒G⇒H

カッコのリピート記号③
カッコのリピート記号3の8小節

カッコの番号

カッコの番号は1と2だけではなく、3以降も続きます。なので、今度は2回目もCへ入り、3回目でGへ飛びます。この場合のリピート記号は、2回の効果がある分けです。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F
    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F
    A⇒B⇒G⇒H

カーポ

D.C.
D.C.の8小節

カーポは最初に戻る

HにあるD.C.(ダカーポ)は曲の頭に戻るという意味です。ただ、D.C.は単体で登場する事はなく、次のような記号と一緒に使われます。因みに、D.C.は「DaCapo」を略したイタリア語です。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F⇒G⇒H
    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F⇒G⇒H

Fine
Fineの8小節

フィーネで終わる

DにあるFine(フィーネ)は終わりという意味です。しかし、1回目のFineは通り過ぎ、D.C.後のFineで終わります。また、Fineと同じく終止を意味する、フェルマータ記号が使われる場合もあります。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F⇒G⇒H
    A⇒B⇒C⇒D

ダルセーニョ

D.S.①
ダル・セーニョ1の8小節

D.S.からセーニョマーク

先ずCにある𝄋(セーニョマーク)が目に付きますが、これは通り過ぎます。HにあるD.S.(ダルセーニョ)まで来たら、先程の𝄋へ飛びます。因みに、D.S.は「DalSegno」を略したイタリア語です。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F⇒G⇒H
    C⇒D⇒E⇒F⇒G⇒H

D.S.②
ダル・セーニョ2の8小節

セーニョマークだけ

D.S.の代わりに𝄋が使われる事もあり、その場合は両方とも𝄋になりますが、効果は全く同じです。小節の下にある𝄋から、小節の上にある𝄋へ飛ぶ、と覚えておきましょう。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F⇒G⇒H
    C⇒D⇒E⇒F

コーダ

Coda①
Coda1の8小節

コーダマークも飛ぶ

CとGにある𝄌をコーダマークと言います。先ず両方のto𝄌𝄌codaは通り過ぎ、D.C.で曲頭へ戻ります。2回目のBを弾き終えたらGへ飛び、2回目のHはFineで終わりです。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F⇒G⇒H
    A⇒B⇒G⇒H

Coda②
Coda2の8小節

コーダマークだけ

コーダもマークだけが記される時もありますが、toとcodaが省かれているだけです。とは言え慣れていないと、最初は少し戸惑ってしまうかもしれません。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F⇒G⇒H
    B⇒C⇒F⇒G

ビステルクアテル

bisterquater
bis・ter・quaterの8小節

修正用の反復記号

bis(ビス)は2回の繰り返し、ter(テル)は3回の繰り返し、quaterは4回の繰り返しを意味します。これらは完成後の譜面に、修正用として使われるので、市販の譜面では見られないと思います。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒B⇒C⇒D⇒D⇒D
    E⇒F⇒G⇒F⇒G⇒F⇒G⇒F⇒G⇒H

反復記号まとめ

大きな譜面を開く
反復記号の練習譜面
反復記号の練習譜面16小節

反復記号を見極める

主には直ぐに効果を及ぼす反復記号と、先ずは通り過ぎる反復記号の、二種類に分かれます。それらを見極めれば、どれだけ長い譜面になっても、そう難しいものではないと思います。

  • 小節の進行順

    A⇒B⇒C⇒A⇒B⇒D
    E⇒F⇒G⇒H⇒I⇒J⇒K⇒L
    G⇒H⇒I⇒J
    M⇒N⇒O⇒O⇒O⇒P

日本語で書いても良い

主に音楽記号はイタリア語で、それが一般的になっていますが、手書きで渡す譜面なら「ここから8小節目に戻る」「2回繰り返して終わる」という風に、日本語で書いても良いでしょう。実際に私も演奏現場では、日本語で書かれた譜面を、何度も目にした事があります。

記事終了
このページのまとめ
  • 先ずはリピート記号を覚える。
  • D.S.とCodaはポピュラー音楽でも頻繁に見る。
  • D.C.とFineはポピュラー音楽ではあまり見ない。