譜面やバンドスコアには「この小節はこう弾きなさい」という、演奏記号による指示があります。また、併せて省略記号も知っておくと、譜面を簡潔に見易くする事が出来ます。これらの音楽記号にも、沢山の種類がありますが、ここでは基本的なものだけ、確認しておく事にします。

演奏記号

  • オッターバ記号なし
    オッターバ記号なしの4小節
  • オッターバ記号あり
    オッターバ記号ありの4小節

オッターバ記号で見易く

❶の23小節目は、加線が多く見辛いです。そんな時は❷のように、8va(オッターバ)で加線を無くし、見易く出来ます。なので、オッターバ記号は記される音符より、オクターブ高く弾くという意味です。

オッターバのいろいろ

オッターバには他にも表し方があり、オクターブ高く弾くだけではなく、逆にオクターブ低く弾く、というのもあります。詳しくは姉妹サイトの、アーティキュレーションetc.で説明しています。

  • タイ記号ありの正確な音符
    タイ記号ありの正確な音符の2小節
  • タイ記号なしの間違った音符
    タイ記号なしの間違った音符の2小節

タイ記号は音符を結ぶ

同じ高さの音を湾曲線で結ぶのがタイ記号で、結ばれた音符同士は、合体した長さになります。❸の8分音符同士なら4分音符、8分音符と4分音符なら付点4分音符ですが、かと言って❹のように表してしまうと、間違った音符の書き方になります。

譜面を書く時のルール

なぜ❹のように書くと駄目なのかというと、3拍目は音符や休符を見えるようにするという、譜面を書く時のルールがあるからです。詳しくは、付点4分音符と付点2分音符で説明しています。

スラー記号(2小節目)
スラー記号(2小節目)の2小節

スラー記号は滑らかに弾く

1小節目はタイ記号ですが、2小節目の曲線はスラーという記号です。スラー記号は曲線で囲まれた範囲を、滑(なめ)らかに弾くという指示です。クラシックでは多く見られるスラーですが、ポピュラー音学の譜面で、見るのは珍しいです。

  • スタッカート記号あり
    スタッカート記号ありの2小節
  • スタッカート記号なし
    スタッカート記号なしの2小節

スタッカートは刻んで弾く

音符に付く小さな黒点はスタッカートという記号で、その音符を約半分の長さにして弾く、という指示です。なので、❺のスタッカートを無くすと、完全には重なりませんが、❻のようになります。

テヌート記号
テヌート記号の2小節

テヌートは音を伸ばす

音符に付く横線はテヌートという記号で、その音を出来るだけ長く伸ばす、という指示です。上記の2小節のように、スタッカートとのコントラストを出す時に、使われている事も多いです。

  • 4分音符が1分間に約60回鳴るメトロノーム記号
    4分音符が1分間に約60回鳴るメトロノーム記号の2小節
  • 4分音符が1分間に約90回鳴るメトロノーム記号
    4分音符が1分間に約90回鳴るメトロノーム記号の2小節
  • 4分音符が1分間に約120回鳴るメトロノーム記号
    4分音符が1分間に約120回鳴るメトロノーム記号の2小節
  • 4分音符が1分間に約150回鳴るメトロノーム記号
    4分音符が1分間に約150回鳴るメトロノーム記号の2小節
  • 4分音符が1分間に約180回鳴るメトロノーム記号
    4分音符が1分間に約180回鳴るメトロノーム記号の2小節

メトロノームは曲の速度

❼~⓫まで「4分音符=数字」というものがありますが、これをメトロノーム記号と言います。メトロノーム記号は曲の速度を示すもので、❾なら4分音符が1分間に約120回鳴る、という速度です。ここでは4分音符が基準になっていますが、8分音符や2分音符になったりもします。

BPMも曲のテンポを表す

メトロノーム記号の代わりに、BPM(ビートパーミニッツ)が使われている場合もあり、これも数値が高いほど、曲のテンポも速いという意味です。

フェルマータ記号
フェルマータ記号のある2小節

フェルマータの意味は複数

最後の音符にあるのがフェルマータという記号で、これには複数の意味があります。この音符で終わり、音を十分に伸ばす、リズムを一時停止する、というのがフェルマータで、その時々に応じて考えていきましょう。ポピュラー音楽の譜面では、あまり見る事はないと思います。

省略記号

  • 同じフレーズの2小節
    同じフレーズの2小節の画像
  • 省略記号を用いた2小節目
    省略記号を用いた2小節目の画像

小節の省略記号

❶の2小節は同じフレーズですが、こういった場合は、❷のような省略記号を2小節目に置いて、手間を省く事も出来ます。これはバンドスコアでも、よく見られる小節単位の省略記号です。

  • 1・2小節目と3・4小節目が同じフレーズ
    1・2小節目と3・4小節目が同じフレーズの画像
  • 省略記号を用いた3・4小節目
    省略記号を用いた3・4小節目の画像

2小節以上の省略記号

今度は❸の12小節目と、34小節目が同じフレーズです。こういった場合も❹のように、34小節目の縦線の上へ、省略記号を置く事が出来ます。同じように、前の2小節以上を繰り返すという、省略記号もあります。

  • 拍単位で同じフレーズがある2小節
    拍単位で同じフレーズがある2小節の画像
  • 拍単位の省略記号を用いた2小節
    拍単位の省略記号を用いた2小節の画像

拍の省略記号

❺の2小節を1拍ずつ見ると、同じフレーズがあります。こういった場合は❻のように、斜線を引いてやり、拍単位の省略記号として使えます。

  • 2拍ずつで同じフレーズがある2小節
    2拍ずつで同じフレーズがある2小節の画像
  • 2拍の省略記号を用いた2小節
    2拍の省略記号を用いた2小節の画像

2拍の省略記号

❼を今度は2拍ずつ見ると、同じフレーズなのが分かります。これも❽のようにして、2拍の省略記号として使えます。2という数字は記されず、斜線を2本書いたりと、表記方法は複数あります。

長休符のある1小節目(計12小節)
長休符のある1小節目(計12小節)の画像

長休符は数字分だけ休む

1小節目にあるのが長休符(ちょうきゅうふ)というもので、休符が暫く続く時に使われます。ここでは10小節となる長休符ですが、休符になる小節数に応じて、数も増減されます。

  • 全ての8分音符にスタッカートがある2小節
    全ての8分音符にスタッカートがある2小節の画像
  • Simileを用いた2小節
    Simileを用いた2小節の画像

Simileは同じようにの意味

❾には全ての8分音符に、スタッカートがありますが、これを省略するには❿の、Simileが使われます。Simileは「同じように」という意味があり、上記はスタッカートの例を挙げましたが、他の演奏記号にも使われます。読み方ですが「シーミレ」「シミーレ」の、二通りがあるようです。

記事終了
このページのまとめ
  • 演奏記号や省略記号は他にもある。
  • 演奏記号や省略記号は見ないものも多い。
  • 演奏記号や省略記号は主要だけを抑えておけば良い。