ピアノのような鍵盤楽器は同じ高さの音を、そのキーのみでしか出せませんが、ギターやベースのような弦楽器では、異なる弦でも同じ高さの音を出すことが出来ます。これを異弦同音(いげんどうおん)と言い、弦楽器特有の仕組みです。覚えておくと必ず演奏にもメリットがあります。

異弦同音の仕組み

異弦同音の「C」音
異弦同音の「C」音の指板図

異弦同音の見方

指板上には同じ音名が幾つか存在して、これらは同じ高さの音である場合があります。3弦3フレットの「C」音に注目してみましょう。そこから右に5フレット移動し、1本下(エレキベースを構えている時は上)の弦、4弦8フレットの「C」音は、3弦3フレットと全く同じ高さの音が出せます。

異弦同音の「G」音
異弦同音の「G」音の指板図

異弦同音は複数ある

今度は1弦0フレットの「G」音を基準に考えると、そこから右に5フレット移動し、1本下(エレキベースを構えている時は上)の弦の、2弦5フレットの「G」音は異弦同音です。その2弦5フレットから同じく、右に5フレット移動し1本下の弦の、3弦10フレットの「G」音も異弦同音です。更にその3弦10フレットから同じく、右に5フレット移動し1本下の弦の、4弦15フレットも異弦同音です。つまり、これら4ヵ所のフレット「G」音は、同じ高さの音になる分けです。1弦0フレットから4弦15フレットは、かなり離れていますが、同じ高さの音が出せるので、最初は不思議に思えます。

異弦同音は音圧が違う

このように、異なる弦でも同じ高さの音を異弦同音と言い、これを利用すれば難しいフレーズでも、弾き易くなったりします。特に5フレット目は異弦同音として、開放弦を使えるので便利かと思います。でも、1つポイントとして知っておいてほしいのが、異弦同音では音圧が違うということです。例えば、異弦同音の1弦0フレットの「G」音と、4弦15フレットの「G」音を弾いてみましょう。4弦の方が弦の太い分だけ、音にも迫力が感じられます。出力が少ないアンプでは分かり辛いと思いますが、ライブなどで使う大きなアンプでは、もっと音圧の違いが感じられるはずです。

異弦同音とオクターブ

異弦同音とオクターブの「C」音
異弦同音とオクターブの「C」音の指板図

オクターブは音が一回り

3弦3フレットと4弦8フレットの「C」音は、異弦同音の関係にあると説明しました。1弦5フレットの音名も「C」音ですが、こちらは3弦5フレットから見て、オクターブ高い音になっています。オクターブというのは音が一回りすることで、例えば「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」の、最初の「ド」から最後の「ド」までのことです。音が変わっても同じで「ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ」の、最初と最後の「ミ」はオクターブの関係です。

音を鳴らせば直ぐ分かる

2弦10フレットの「C」音から見て、4弦8フレットの「C」音はオクターブ低い音に当たります。1弦5フレットと2弦10フレットの「C」音は、異弦同音の関係になっています。まだエレキベースを持っていなくて、音が出せない人には少しややこしい話かと思いますが、実際に弾いてみて音の高さを確かめてみれば、異弦同音やオクターブの違いは直ぐに分かります。

異弦同音と運指

開放弦ナシとアリの運指
開放弦ナシとアリの運指2小節

異弦同音で楽な運指

音符と音名を見ても分かるように、両方の小節は同じフレーズです。しかし、記されてある運指の通りに弾こうとすると、左の小節は3弦3フレットの人差し指のアイコンの人差し指から、3弦6フレットの小指のアイコンの小指まで、手をいっぱいに広げ、その後に薬指のアイコンの薬指で2弦5フレットを押さえなければなりません。これを異弦同音で直してみた右の小節は、指を伸ばすことも薬指を使う必要もなく、かなり楽な運指になっていると思います。

  • 運指①のベースライン
    運指1のベースライン2小節
  • 運指②のベースライン
    運指2のベースライン2小節

異弦同音で直すベースライン

この2小節はUNICORNというバンドの曲で、使用されているベースラインです。バンドスコアには運指①のタブ譜面で載っており、初心者にはかなり難しいベースラインです。これを異弦同音で直してやると、運指②のタブ譜面にすることが出来て、ベースラインもかなり楽に弾けるはずです。

異弦同音を考える

初心者のうちは「タブ譜面だけが正しい唯一の弾き方」と、思ってしまうのは仕方のない事です。しかし、異弦同音を知っておくと楽な運指に直すことも可能です。なので、難しいベースラインが出てきたら、異弦同音で弾けないかを考えてみてください。

記事終了
このページのまとめ
  • 異弦同音はなるを出せる。
  • 異弦同音は音圧が違ってくる。
  • 異弦同音を知っておくと運指も楽になる。