ベース初心者の方々から年に何度か、メールやレッスンで「指弾きかピック弾きかで迷います。」と言われます。その気持ちはよく分かり、私も初心者の頃は迷っていました。ここでは両方のサウンドや音楽スタイル等の、相違点と共通点を私なりに、まとめてみました。
指弾きとピック弾き
指弾き簡単まとめ表
音楽ジャンル | ポップス・ファンク・R&B・ジャズ |
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サウンド | 暖かく丸みのあるソフトな音 |
備考 | 全体的に音をコントロールし易い |
指弾きについて
指弾きが好まれる音楽ジャンルは、ポップス・ファンク・R&B・ジャズ、などが挙げられます。暖かく丸みのある音を出せますが、弦の消耗度や、アンプとベースの設定次第では、音が曇り過ぎて、聞き取り辛くもなってしまいます。指で直に弦を弾くので、全体的なコントロールはし易いでしょう。
ピック弾き簡単まとめ表
音楽ジャンル | ロック・パンク・メタル・ハードコア |
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サウンド | アタック感のある尖った音 |
備考 | 速いテンポの曲でも疲れない |
ピック弾きについて
ピック弾きが好まれるのは、ロック・パンク・メタル・ハードコア等で、そういったジャンルは、テンポの速い曲が多いため、ピック弾きの方が疲れにくいです。アタック感のある尖った音なので、弦が多少古くても、音が埋もれてしまう事は、少ないはずです。逆に、ソフトな音は出し辛いです。
どちらが難しい?
私は20年ほどベースを教えていますが、指弾きの方を難しく感じる、という人が多いです。指弾きは通常、人差し指と中指を、交互に動かし弾くので、1本ずつを制御するのが大変なようです。ピック弾きはピックだけに集中できるので、まだ弾き易いという感想が多いですが、やはり個人差はあります。
ピック弾きベーシストは下手?
ピック弾きベーシストは、テクニックや音楽理論的にも劣っている、という意見を耳にします。しかし、それは大きな誤解で、指弾きやピック弾きに関わらず、上手い人は上手いです。私が好きなピック弾きベーシストを、お二人ご紹介します。
コーディー・ライト
シンプルにカッコいい
コーディー・ライトのピック弾きは分かり易く、誰が見聞きしてもカッコいいはずです。高いテクニックはもちろん、エフェクター等も多彩に駆使し、音の種類も豊富です。
スティーヴ・スワロー
ピック弾きでジャズ
スティーヴ・スワローはピック弾きで、ジャズを演奏するベーシストです。ピックで出している音とは思えないような、丸みのある暖かい音が特徴でしょう。
指とピックの二刀流
どちらか一方に絞らず、最初は指とピックの両方で、練習していくのも良いです。それだけ練習も大変ですが、後に幅広く対応できる事は確かです。
弦を弾く場所と目線
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フロントピックアップ -
リアピックアップ -
トーンコントロールノブ
ピックアップとノブ
先ずはジャズベースを例に挙げ、ピックアップとノブについて、基本的な事を知っておきましょう。❶をフロントピックアップ、❷をリアピックアップと言い、それぞれ矢印のノブで調節します。❸はトーンコントロールノブと言い、フロントとリアの両方を調節するノブです。
- フロントピックアップ
暖かく丸みのある音を特徴とします。バンド内で音が埋もれてしまう場合は、フロントピックアップをカットしてやると良いでしょう。
- リアピックアップ
硬く尖った音を特徴とします。少し音が目立ち過ぎてしまう場合は、リアピックアップをカットしてやると良いでしょう。
ノブの数は違う
ベースによってノブの数は違い、フロントとリアの中間的な音を、調節するノブなどもあります。普段からノブを一つずつ回して、どんな音になるか、聞いておく事が大事です。

弦を弾く場所について
弦を弾く場所で音色は大きく変わり、これは指弾きとピック弾きで、共通して言える事です。ピックアップを境にして考えると、具体的には以下のようになります。ケースによって弾く場所を変えてやると、演奏も豊かになるはずです。
- ネックの根本からフロントの間
ネックの根本からフロントピックアップにかけては、柔らかい音が特徴的です。ピッキングの感触もソフトで、指やピックが弦を抜け易いでしょう。
- フロントとリアの間
フロントピックアップからリアピックの間を、先ずはピッキングの標準、と考えておくと良いでしょう。最も弦の振動を拾える場所なので、ベースの純粋な音がすると言えます。
- リアとブリッジの間
リアピックアップからブリッジ付近にかけては、硬い音が特徴的です。ピッキングの感触もハードで、特に指弾きの方で、大変さを感じられるでしょう。
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指板を覗き込む目線 -
指板を覗き込まない目線
指板を覗き込むと見易い
次も指弾きピック弾き関わらず、初心者は❹のように、指板を覗き込む目線の場合が多いです。フレットや弦を見易いですし、最初はその方が良いとも言えるでしょう。
弾く時の姿勢は大事
しかし、指板を覗き込む目線は、首や背筋を曲げるので、体に負担をかけてしまいます。なので、慣れるにつれて、姿勢を正した❺のような、指板を覗き込まない目線、にしていきましょう。
ライブでの目線を考える
指板を覗き込まない目線も、顔は指板の方を向いています。特にライブで指板ばかり見ていると、お客さんは良い印象を持ちません。なので、指板は必要に応じて、チラ見程度にしておくのが、最善かと思います。

- 指弾きかピック弾きかは、音楽スタイルによる。
- 弦を弾く場所で、音や感触は大きく違う。
- 演奏時の目線は、少しずつ指板から外す。