スラップ奏法の弦を引っ張って出す音をプラッキング(プル)と言います。プラッキングは鋭い音で、アクセントを付けられるのが特徴です。先ずはプラッキングの具体的な位置を確認し、サムピングと組み合わせた、基本的な練習をしていきましょう。
プラッキングの基本

プラッキングの角度と深さ
上記の画像は1弦を人差し指で、プラッキングしている瞬間です。先ず指先の入る角度ですが、真っ直ぐではなく、斜めに入るのが自然でしょう。次にプラッキングする指は、それほど深く入れる必要もなく、引っ張るというより、少しばかり引っ掛ける、というニュアンスが良いでしょう。

サムピング次第で角度も変わる
今度のプラッキングは、人差し指が真っ直ぐに入っています。プラッキングの角度は、サムピングの種類によっても左右され、スラップ奏法のサムピングでも説明した、親指が下を向くフリー風サムピングなら、プラッキングは真っ直ぐに入れるのが、自然になるかと思います。
プラッキングも個人差
スラップベーシストの多くは、プラッキングは浅めに軽く引っ掛ける、という程度かと思います。しかし、指の腹でしっかりと弦を捉え、思い切り引っ張る、というベーシストもいます。

プラッキングを指示する記号
1弦5フレット、2弦2フレット、1弦0フレットに、>という記号があり、これがプラッキングを指示する記号です。この記号はプラッキング専用の記号ではなく、音楽理論ではアクセント記号と言われ「その音を強く弾く」という意味を持ちます。

プラッキングで使う指
プラッキングで使う指は自由ですが、人差し指が通常かと思います。人差し指だけでも構いませんが、2本の弦を同時にプラッキングする、という機会も出てきます。先ずは人差し指だけで構いませんが、いずれは中指も使えるようになると、スラップも幅広く対応できるでしょう。
薬指でもプラッキング
人差し指と中指に加えて、薬指でもプラッキングするという、ベーシストもいます。私は見た事ありませんが、中には小指でもプラッキングする、という人もいるかもしれません。
プラッキングの練習
サムピング&プラッキング
プルはサムとセットで練習
冒頭でも触れましたが、プラッキングはサムピングと、組み合わせて練習すると、スラップのコツを掴み易いかと思います。上記の動画でも弾いている、基本的なサムピング&プラッキングを、TAB譜面に起こしているので、先ずはそれから練習していきましょう。

2弦のプラッキングが難しい
このようなオクターブのフレーズは、スラップの基本練習ではよく使われます。1小節目のように、1弦のプラッキングは割と楽ですが、2小節目のように、2弦のプラッキングになると、1弦に指が当たってしまったりと、かなり難しくなります。先ずはゆっくりと弾き、指に感覚をつけてください。

隣り合う弦をサム&プル
先程のオクターブのフレーズに慣れてしまうと、隣り合う弦のサムピングとプラッキングが、難しく感じられます。サムピングの親指と、プラッキングの人差し指の、自分に合う開き具合を、見つけてやりましょう。

プラッキングの指を使い分け
最後は前の2つを合わせた、スラップのフレーズです。プラッキングの指は全て、人差し指で構いませんが、それに慣れたら、中指も使ってみましょう。例えば1小節目なら、2弦5フレットは人差し指、1弦5フレットは中指のプラッキング、という具合です。
プラッキングする弦
4弦ベースの場合だと、1弦と2弦が多くなるかと思いますが、3弦のプラッキングもよくあり、強烈な音が欲しい時は、4弦をプラッキングする事もあります。

指弾きへの切り替え
1・2弦のプラッキングは、ほぼハンマリングしており、少し強めに弾いて、アクセントをつけてやると良いでしょう。3・4弦はサムピングですが、※の音は指弾きしています。ややこしければ、※の音もサムピングで良いですが、指弾きに切り替えられると、見た目的にも少し、カッコイイかと思います。
ロータリー奏法
ロータリー奏法の基本フレーズ
ロータリー奏法とは?
ロータリーとは回転を意味しますが、その回転の動きを取り入れたスラップを、ロータリー奏法と言います。ロータリー奏法のプラッキングは、これまで通りですが、サムピングがサムダウン&サムアップ、というものに変わります。先ずはそれから見てきましょう。
サムダウン&サムアップの基本フレーズ
親指をピックのように使う
サムダウンは親指の腹側で、サムアップは親指の爪側で鳴らし、それを連続で繰り返すと、まるでピック弾きのように見えます。サムダウンは通常のサムピングに比べると、弦に当たる親指の位置も違い、3弦をサムダウンするなら、2弦に親指が軽く当たる、という感じになるでしょう。

サムダウン&サムアップの記号
サムダウンを指示する記号はΠ、サムアップを指示する記号はV、と表されます。または2小節目のように、ダウンとアップの頭文字を取った、DとUで表す事もあります。しかし、これらが表記されるのは、教則本などの時だけで、実際の譜面に書かれている事は、あまりありません。

ロータリー奏法の練習方法
先程のサムダウン&サムアップに、プラッキングを加えた、ロータリー奏法の一例です。最初の動画でも弾いていたフレーズで、初歩的なフレーズですが、やはり初心者には非常に難しいです。なので、一気に全部を弾こうとせず、次のように区切って弾いていく、というのも効果的な練習です。
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サムダウン&サムアップのみ -
1回目のプラッキングまで -
プラッキング後のサムダウン&サムアップまで -
2回目のプラッキングまで(完成)
プラッキングが難しい
先ずは❶のサムダウン&サムアップのみを、確実に弾けるようにしましょう。その直後、❷の1回目のプラッキングまでが、最も難しいかもしれないので、❷を集中的に練習すると良いでしょう。❸はサムアップで終わる、という意識を持っておきましょう。❹は❷が弾けていたら、弾けるはずです。
ロータリーは後回し
説明してきたように、ロータリーはサムダウン&サムアップを使うので、まだ通常のサムピングが不安定な人は、ロータリーは後回しで良いでしょう。

- プラッキングは浅めに引っ掛ける程度が良い。
- プラッキングで使う指は、人差し指と中指が主流。
- プラッキングはサムピングと、合わせて練習すると良い。